2013年5月6日月曜日

さてみなさん聞いて下さい 浜村淳ラジオ話芸―「ありがとう」そして「バチョン」

本のご紹介です

さてみなさん聞いて下さい 浜村淳ラジオ話芸―「ありがとう」そして「バチョン」」は浜村淳さんという、司会者・ディスクジョッキーが書かれた本です。ご自身の半生を振り返った一冊です。

何かの本で「浜村さんの話芸がすごい」という記述を見かけ、どんな人なんだろうと思い読むに至りました。

本書を一言でいうと、「思いやりと工夫」ですね。読み手や聞き手に対する配慮というものが、本書を読んでいて伝わってきます。そして、ご自身の話芸・司会を磨いてきたエピソードがたくさん語られています。

本書で一番心に残っているのは、チャップリンの映画「街の灯」の紹介語りです。
映像の描写と、セリフや音の説明がちょうどいいバランスで入ります。そして、わかりやすい解説・まとめが入ります。間、もうまく取ります。ところどころ、登場人物や観客の心情にも言及するので、読んでいて本当に映画を見ているような気分になりました!


昭和60年代生まれの私としては、チャップリンの無声映画は物足りないと感じます。小中学生の頃、たくさん映画を見てましたが、チャップリンに対しては「有名なわりには対したことないじゃん」と尊大なことを思っていました。しかし、浜村さんの「街の灯」の解説を読んで、私の考えは改まりました。

なぜなら、最後の3つのセリフへの解説に心打たれたからです。

「あなたでしたか」
「見えるようになったんですね」
「はい、見えます」

この3つのセリフで、「街の灯」は幕を閉じます。ガキの頃、私がこの映画を見た時は、「あっさりしているなぁ」とか「え!?これで終わり?」とか思ったと記憶しています。

チャップリンには微塵も、「泣かしてやろう」という押し付けがましさがないですね。(265P)

と浜村さんは、このラストシーンについて言及されてます。まさに、ムダを削ぎ落とした名シーンだったんだなと私は思い直しました。






ちなみに、チャップリンの映画では「ライムライト」が好きです。「人生は、ズームアップでは悲劇だが、 ロングシヨットでは喜劇だ」という言葉がチャップリンの名言として取り上げられています。「ライムライト」はまさにそういう作品だったと記憶しています。


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